彼の声の演技にも触れないわけにはいかない。スタジオジブリの名作アニメーション映画『おもひでぽろぽろ』で見せた父親役の抑制された演技は、昭和の不器用な家族像を見事に体現していた。多くを語らず、娘にかける一言に複雑な愛情を滲ませるその声音は、劇場公開から数十年が経過した今も色褪せることはない。
近年、ストリーミングサービスの普及によって、若い世代が彼の過去作にアクセスする機会が急増している。Netflixで世界配信されるジブリ作品や、NHKオンデマンドで配信される往年の名作大河ドラマを通じて、「この素晴らしい俳優は誰なのか」と再発見する視聴者が後を絶たない。本人が完全に隠棲したあとも、作品の中で彼の魂は生き生きと躍動し続けている。