行政実務における公用車定義は、官公庁や地方自治体、警察・消防などの公的機関が「公務を円滑に遂行する目的」で直接保有、またはリース契約によって管理・運行している車両全般を指す。広く社会一般では知事や大臣が乗る黒塗りの専用セダンばかりが想起されがちだが、実務上の内訳は実に幅広い。警察のパトロールカーや消防指揮車、土木事務所の作業用トラック、さらには市役所の福祉担当職員が訪問巡回に用いる軽自動車や原動機付自転車まで、公金によって運用される車両はすべて公用車の範疇に含まれる。
ここで多くの市民が疑問を抱くのが、民間企業が導入する公用車社用車違いの法的・実務的境界線である。もっとも決定的な差異は「購入・維持費用の原資」と「運行目的が背負う社会的責任」にある。社用車は民間企業の営業利益や株主資本を元手に調達され、企業の売上創出や業務効率化を目的に使用される。万が一、休日に役員がゴルフの移動に私的利用したとしても、社内就業規則違反や税法上の現物給与認定といった内部問題にとどまるケースが大半を占める。
対照的に、公用車の調達費用、燃料費、車検代、保険料、さらには運転手の給与に至るまで、その原資はすべて住民や国民から徴収された公費(税金)で賄われている。公務員法や自治体ごとの財産管理規則に拘束されるため、たとえ1キロメートルの私用移動であっても「公金の横領」や「背任」に直結しかねない重大なコンプライアンス違反となる。さらに道路運送法上の区分を見ても、公用車は原則として自家用自動車に分類されるため白ナンバーが交付される。運送事業用である公用車緑ナンバー白ナンバーの差異を整理すると、行政が自ら保有・運行する車両は白ナンバーであり、民間のハイヤー会社や運行受託業者へ業務委託した際に配車される車両のみが緑ナンバーとなる法的構造を持つ。