日常会話において「worry」は、日本語話者が想像する以上に重い心理的負荷を背負った言葉である。Cambridge English Corpusの膨大な対話データを精査すると、ネイティブスピーカーが「worry」を使う局面は、健康問題や家族の危機、あるいは強迫観念に近い個人的な不安に偏っていることが明白だ。
英国の著名な言語学者David Crystalが応用言語学(Applied Linguistics)の諸著作で繰り返し警告してきたように、母語の感覚をそのまま直訳して移入する「語用論的転移(Pragmatic Transfer)」は、意図しない感情的摩擦を生む。同僚に向かって「I am worrying about your presentation」と言えば、それは「準備は順調?」という気さくな声かけではなく、「あなたのプレゼンが大失敗するのではないかと気が狂いそうだ」という不吉な告白に近い響きを帯びてしまうのだ。