渡航者や駐在員が最も懸念するメキシコ治安の最新状況において、依然として警戒が必要なのが麻薬カルテルを巡る暴力事件の動向です。特にシナロア州やグアナファト州、ミチョアカン州などの特定地域では、幹部の身柄拘束や組織の分裂に伴う縄張り争いが散発しており、治安部隊との激しい銃撃戦が報じられるケースが後を絶ちません。
現地における日本人被害の実態を検証すると、カルテル間の直接的な抗争に観光客が巻き込まれるケースは稀であるものの、幹線道路でのカージャック(車両強奪)や、都市部の歓楽街・公共交通機関における強盗、スキミング、置き引きといった一般犯罪の被害報告が相次いでいます。日系自動車メーカーの工場が集積するバヒオ地区周辺でも、夜間の幹線道路走行中に武装グループに停車を強要される事案が発生しており、現地企業は運行ルートや移動時間帯の厳格な制限を設けています。
被害を未然に防ぐためには、「夜間の単独行動を避ける」「公式アプリで手配した配車サービス(Uber等)のみを利用する」「貴金属や高価なスマートフォンを目立つ場所で露出しない」という基本原則の徹底が鉄則です。現地の治安情勢は州や基礎自治体(ムニシピオ)ごとに全く異なるため、エリアごとの安全情報をリアルタイムで把握する姿勢が求められます。