彼の真骨頂は、西洋演劇の洗練された文脈の中に、日本の伝統芸能のDNAを鮮やかに融合させる手腕にある。伝統的な歌舞伎や、国内外のオペラハウスでの演出で見せた圧倒的な空間構成は、既存の「伝統」という概念を気持ちいいほどに壊してみせた。
単なる和洋折衷ではない。伝統芸能が持つ様式美の本質を丁寧に見極めた上で、それを現代のグローバルな視線に耐えうるストーリーテリングへと再構築する。この卓越したプロデュース能力があるからこそ、伝統芸能のファンのみならず、これまで歌舞伎やオペラに触れてこなかった若者や海外の観客までもが、彼の舞台に吸い寄せられるのだ。