「上手に見せる必要がどこにあるの?」——TikTokで4000万フォロワーを持つ19歳のクリエイター、エマ・ロドリゲスはインタビューでこう言い切った。彼女の動画で行われているのは、お気に入りのロートラック音源に合わせて、ゆるやかに体を左右へシフトさせる動作だけだ。
これまでのソーシャルメディアは、常に最高で刺激的な「映え」を求めて狂奔してきた。だが、その過剰な演出と「つくられた完璧さ」に、観客の側も、そして発信者の側も明らかに辟易し始めている。編集なし、フィルターなし、そして高度な技術なし。ただ部屋の片隅や通勤中の駅のホームで体をゆらすだけの日常風景が、皮肉にも最も「リアル」で価値あるコンテンツとして支持を集める構造がここにある。