「まんざらでもない」を辞書で引くと、「まったくダメだというわけではない」「必ずしも嫌悪しているわけではない」といった説明が並びます。漢字では「満更でもない」と表記され、下に打ち消しの語を伴って「一概に否定しきれないこと」を示す慣用表現です。
言語構造としては「否定の否定」、すなわち二重否定による婉曲的な肯定表現にあたります。日本古来の奥ゆかしさや謙遜の美徳が反映された言い回しであり、ストレートに「とても嬉しい」「大満足だ」「大好きだ」と口にするのを気恥ずかしく感じる場面で重宝されてきました。
第三者の様子を観察して「まんざらでもなさそう」と表現する場合、本人は言葉で否定や謙遜を取り繕っていても、態度や視線、表情筋のわずかな緩みによってポジティブな本心が漏れ出ている状態を指します。心理学的な観点から見ると、ここには「自尊心の防衛」と「承認欲求の充足」という2つの心理的プロセスが働いています。
面と向かって褒められた際、素直に喜びすぎると「調子に乗っている」「自惚れている」と周囲から見なされるリスクを恐れる心理が働きます。そこで「まんざらでもない」という曖昧なクッションを挟むことで、謙虚なポーズを保ちながら内心の満足感を味わおうとするのです。つまり、「まんざらでもない 本音」の裏側には、肯定された喜びと照れ隠しが同居していると捉えるのが自然です。