事件が起きたのは1998年8月。八重山諸島の中心地である石垣島は、観光シーズン真っ只中だった。その静かな住宅街で、当時29歳だった中学校の女性教師が自宅で殺害されているのが発見された。首を絞められたことによる窒息死。凄惨な現場の状況は、犯人の強い殺意を物語っていた。
警察は早い段階から、被害者の知人であった当時45歳の男に容疑を絞り込んだ。それが彼である。しかし、彼が乗っていたとみられる軽自動車が島内の港近くで乗り捨てられているのが発見されて以降、その姿を見た者は誰もいない。島という閉ざされた空間から、男は煙のように消え去ってしまったのだ。