焼き鳥というシンプルな料理ほど、誤魔化しが効かないものはない。炭の起しの強弱、遠赤外線の伝わり方、そしてタレをくぐらせるタイミング。備長炭の高温で一気に表面を焼き固め、旨味を閉じ込める技術は、一朝一夕で身につくものではない。
「炭のコンディションは毎日違う。湿気が多い日は燃え方が鈍くなるし、風が強い日は火力が均一にならない」と、ある店舗の店長は語る。全自動の電気グリラーを導入すれば人件費も抑えられ、火災リスクも減る。しかし、同チェーンが頑なに炭火にこだわり続けるのは、炭特有の燻煙香がもたらす「圧倒的な香ばしさ」こそが、客が足を運ぶ最大の理由だと知っているからだ。