カナディアン・ロッキーの宝石と称えられた世界的なリゾート地、ジャスパー国立公園。過去の大火災で街の大部分が焼失した悲劇の記憶は新しいが、再建の途上にある地域社会を、容赦なく次の火災が襲う。
住宅価格の暴落、相次ぐ損害保険会社の撤退、そして観光インフラの断絶。火災が過ぎ去った後に残されるのは、長期間にわたる経済的沈滞だ。「住み慣れた故郷が、いつ燃えるかわからない博打の場になってしまった」という現地住民の言葉は重い。環境の変化によって住処を追われる「気候難民」の急増は、カナダ政府にとって今や最大の政治課題となっている。