高井田系の歴史を紐解くうえで外せないのが、「朝ラード」あるいは「朝ラーメン」とも呼ばれる独自の営業スタイルだ。終戦直後から高井田周辺は町工場が立ち並ぶモノづくりの街として栄えた。夜勤明けの労働者や早朝から働く長距離トラックのドライバーたちに、素早く高カロリーで塩分補給ができる食事を提供したことが起源とされる。
午前6時や7時から暖簾を掲げる店が多いのは、その名残だ。身体を酷使した労働者たちの胃袋を支え続けてきた歴史があるからこそ、飾り気のない無骨さと、誤魔化しのきかない本物のコクがスープに宿っている。長年通い詰める常連客と、新しい波に乗って訪れた若者が同じカウンターで肩を並べて麺をすする光景には、この街が歩んできた確かな歴史の厚みが感じられる。