甲子園には「魔物が住む」と言われる。どんな強豪であっても、土壇場の終盤8回や9回には思わぬ落とし穴が潜んでいる。今大会の準々決勝、横浜もまたその猛威に晒された。
相手チームの怒涛の反撃を受け、1点差に迫られた8回裏。満塁のピンチでマウンドに集まったナインの表情に、焦りは見られなかった。内野陣が声を掛け合い、マウンドのエースの肩を叩く。この場面で選択したのは、前前気味の守備位置ではなく、確実にアウトを1つ取りに行く堅実なダブルプレー体系だった。
次打者が放った強烈なライナーは、ショートの差し伸ばしたグラブの中に収まった。一瞬の判断ミスも許されない緊迫した場面で見せたノーミスプレー。日頃の千本ノックで培われた体に染みついた技術が、甲子園の魔物を打ち払った歴史的瞬間と言えた。