「三 茄子」で終わりだと思ったら大間違いだ。実はこの言葉には、一般にはあまり知られていない続きが存在する。江戸中期の文献『甲子夜話』などには、「四 扇(しせん) 五 多煙草(ごたばこ) 六 座頭(ろくざとう)」という後半部分が明確に記録されている。
後半のラインナップも、前半の3つと絶妙な対をなす構成となっている。扇は開いた形から「末広がり」で繁栄を意味し、多煙草は吐き出す煙が上に上る様子から運気上昇を示す。そして座頭(毛髪のない盲目の修行者)は、「毛がない」ことが「怪我がない」に通じ、無病息災の祈りが込められている。富士と扇(裾広がり)、鷹と多煙草(上昇)、茄子と座頭(毛がない=ツルツルとした形状)という完璧な対比構造からは、江戸文化人の高度なレトリックと洒脱な精神が透けて見える。