地方の有名観光地で数千円を出して食べる海鮮丼が、必ずしも最高峰とは限らない――そんな冷徹な現実が、近年の外食市場で急速に浸透してきた。観光地プレミアムが上乗せされた高価格帯のメニューに対し、都市部の路地裏や郊外の住居エリアで営業する実力派店が、中間マージンを極限まで削ぎ落とした「適正価格」で猛追をかけているからだ。
背景にあるのは、地方自治体や水産事業者が進めてきたダイレクト物流の強化だ。2026年現在の水産流通は、従来の巨大中央卸売市場を経由するルートに加え、産地港から店舗へとダイレクトに配送される高速陸送網が完全に定着した。これにより、地方の有名港町と何ら変わらない鮮度の魚介が、到着当日の昼には都市部のどんぶりに盛り付けられる仕組みが整ったのである。