ミュージカル『ファントム』や『ピピン』など、数々の大作で主演を務めてきた経歴は言わずと知れたところだ。しかし、近年の彼を最も熱狂させているのは、クリエイターとしての側面である。表舞台に立つ俳優が演出まで手掛ける例は珍しくないが、彼の場合はその踏み込み方がまったく異なる。
「舞台上の1センチのズレ、照明が落ちる0.1秒のタイミングにまで理由を求める」。現場のスタッフがそう口を揃える通り、彼の演出手法は極めて緻密だ。演者の感情の機微を拾い上げつつ、客席からの視線を客観的に計算し尽くす。自らが主演を務めながら演出を担当する過酷な現場においても、その集中力が途切れることはない。