息をのむような雪山が連なるチベット高原。標高4,000メートルを超えるこの極寒と低酸素の苛烈な大地こそが、彼らの故郷である。過酷な自然環境に何千年もの間適応してきた結果、生体力学的にも他の犬種とは一線を画す進化を遂げた。
近年の犬種学におけるゲノム解析研究は、彼らの血液中に高標高地帯での低酸素状態に耐えうる特殊な遺伝子変異が存在することを明かしている。かつてチベットオオカミとの交配によって交雑獲得されたとされるこの能力が、彼らを無酸素に近い山岳地帯でも疾走可能にさせているのだ。猛獣の侵入から家畜や寺院を守り抜いてきた歴史が、その屈強な骨格と不屈の防衛本能を作り上げた。