画材コーナーの棚前で立ち止まり、思わず価格表示を二度見する人は少なくない。大創産業(DAISO)やセリア(Seria)が展開するクラフト用添加剤は、ホルベイン画材(Holbein)やリキテックス(Liquitex)、そしてターナー色彩(Turner Colour Works)といった歴史ある専門メーカーの製品と比べて容量単価が10分の1以下だ。価格破壊とも呼べるこの現象は、画材選びの基準を根本から揺さぶっている。
決定的な違いは、エマルジョン(樹脂成分)の純度と顔料保持力にある。ホルベイン画材やリキテックスの製品は、経年による黄変を防ぐ最高純度のアクリル樹脂エマルジョンを惜しみなく使用し、数十年先も作品の鮮やかさを保証する設計だ。一方、大創産業(DAISO)やセリア(Seria)のアイテムは、短期的な展示やクラフト用途を想定したコスト重視の配合となっている。手軽に塗布して楽しむ分には申し分ないが、絵具本来の深みや重厚な発色を引き出す力には確固たる差が存在する。